【読後メモ】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 第6章「マーケティングが日本を救う」+7・8・9章
合理的に準備して、精神的に戦う
日本の「卓越した戦術的な強み」を活かせるように、企業がもっと合理的に準備するクセをつけた方がよい。つまり戦略性を磨くべきだと思うのです。
英語ではMind(理性的意識)とHeart(情緒的意識)を区別して使うのですが、日本語ではうまく分けるシンプルな単語が見つかりません。MindとHeartは「心」という言葉で一体化されていると思います。情緒的に戦えることで戦術は強いのですが、情緒が入り込むことで逆に戦略が弱いのが日本人の特徴だと思います。
戦略を改善することで、日本の戦術的強みはもっと輝くようになると思うのです。卓越した技術力も、極めて生産性が高い現場力も、もっと強い武器になるはずです。戦術に大きな強みを持っている日本は、そこそこOKな戦略さえあれば勝てるケースが多いのです。戦略段階では「情緒」を排除することです。科学的な情報分析をおろそかにせず、理性と感情を区別して議論することもおろそかにせず、合理主義に根ざした冷徹な「選択」をおろそかにしないことです。
マーケターに向いている4つの適性
・リーダーシップの強い人
ここで言う「リーダーシップ」とは、人を動かすことで結果を出す、個人技としての統率力を意味しています。
・考える力(戦略的思考の素養)が強い人
戦略的思考の素養がある人は、子どもの時から要領が良い人です。努力の割には良い成果を出す人と言ってもよいでしょうか。
・EQの高い人
人の心を読み解くのが上手な人がいます。「空気」も「行間」も抜群に読める人です。物事を感覚的に捉えてその真相を洞察する力にも長けているものです。この強みをセンスへの磨いたマーケターは、人々の「好き」「嫌い」や「なぜ」などのマーケティングの重大な課題に対して、全ての調査や判断に十分な時間をかけられない実戦でこそ重宝される大戦力になります。どうやらこのタイプの人は、社交的で人気者、幼少期から現在に至るまでの多くの情報を自然体でたくさん吸収してきた人である場合が多いようです。「人に対する関心の強さ」を持っていること。そして楽しいものやイベントなど「世の中の流行りものに対する興味の強さ」も持っています。
・精神的にタフな人
様々な経験から学んで自分を変化させるためには、精神的なタフさが必要です。
挫折体験をしたことがない人は、注意が必要です。社会人になったら戦力化するまでの数年間は、劣等感は避けられないものだという心構えを持っておくことです。周囲からダメ出しされたり否定されてもネガティブにならず「学ぶ機会を与えてもらったんだ、ラッキー」と思う。そんな「貪欲さ」と「打たれ強さ」が必要になるのです。打たれ強さはある意味で慣れの問題ですが、貪欲さはその人の意識の問題です。妙なプライドが邪魔をするのか、よくわからない「私らしさ」の殻に閉じこもっているのか、否定されることを恐れ、変わることを拒否して、ずーっと成長しない人が少なからずいます。「できない自分」が過度のストレスになる優等生症候群と根っこは同じなのではないかと私は思っています。
強みを伸ばして成功する
会社はあなたの貢献に対して給料を払っているのです。もう一段深く考えてみましょう。会社はあなたの強みに対して給料を払っている。あなたが誰も知らないところで続けている「弱点克服」の努力に対して給料を払っているわけではないのです。
弱点には2種類あります。自身の強みとは関係がない弱点。もう1つは克服すれば自身の強みを大きく活かせる弱点。前者は自覚しつつもどうしようもないので強みでカバーします。後者は克服が非常に大切なので、積極的に取り組んでください。
なかなか変われないのはなぜか?
人間の行動はなかなか思ったとおりにすぐには変わりません。それはなぜか?
全ての中心に価値観があります。価値観によって意志・心構えが影響され、意志によって技術が影響され、技術によって行動が影響される関係にあります。
逆に言えば、強みとなる行動を発揮したい人は、まずは適切な技術を獲得せねばならず、技術を得るためにはそれに見合った意志・心構えを持っておく必要があり、その意志・心構えになるためにはそれに合った価値観が必要となります。
人が変われない最大の理由は「変われない自分にガッカリしてしまうこと」です。Mindsetは変わるときには一瞬で変わります。しかし、SkillやBehaviorはそうはいきません。染み付いたクセというものがあります。筋肉と脳神経トレーニングの問題なのです。何度も何度も繰り返し、意識した方向へ自分の行動を矯正して慣れさせていく時間がどうしても必要になります。本当に変わりたいのであれば、すぐには変われないことを最初から折り込んで覚悟を決めることです。
自分の強みを知るにはどうするか?
強みを知るのにはどうしたら良いか?自分の「好きな行動」あるいは「得意な行動」の中から探すことです。それらの行動の内側にある自分自身の能力やスキルが何であるかを考えてみるのです。行動レベルで書き出したものの中には似通った「好きなこと」のグループがあるはずです。それらに共通する特徴、それがあなたの「強み」です。その強みをどう定義するかによって、役立ち方が変わってきます。スキルのまとめ方には色々ありますが、私がよく使っている大枠のくくりは次のとおりです。
・統率力(リーダーシップ)に関するもの
・思考力に関するもの
・対人関係構築力・コミュニケーション能力に関するもの
・革新性や創造性に関するもの
・行動力や任務遂行力に関するもの
・各職能の専門スキルに関するもの