【読み返す】風間監督
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【事業継承】ストックビジネスと外部の視点
俺の人生を変えるかもしれない選択肢が目の前に現れた。 コマンド:? https://www.businessinsider.jp/post-175218
【読後メモ】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 第6章「マーケティングが日本を救う」+7・8・9章
合理的に準備して、精神的に戦う
日本の「卓越した戦術的な強み」を活かせるように、企業がもっと合理的に準備するクセをつけた方がよい。つまり戦略性を磨くべきだと思うのです。
英語ではMind(理性的意識)とHeart(情緒的意識)を区別して使うのですが、日本語ではうまく分けるシンプルな単語が見つかりません。MindとHeartは「心」という言葉で一体化されていると思います。情緒的に戦えることで戦術は強いのですが、情緒が入り込むことで逆に戦略が弱いのが日本人の特徴だと思います。
戦略を改善することで、日本の戦術的強みはもっと輝くようになると思うのです。卓越した技術力も、極めて生産性が高い現場力も、もっと強い武器になるはずです。戦術に大きな強みを持っている日本は、そこそこOKな戦略さえあれば勝てるケースが多いのです。戦略段階では「情緒」を排除することです。科学的な情報分析をおろそかにせず、理性と感情を区別して議論することもおろそかにせず、合理主義に根ざした冷徹な「選択」をおろそかにしないことです。
マーケターに向いている4つの適性
・リーダーシップの強い人
ここで言う「リーダーシップ」とは、人を動かすことで結果を出す、個人技としての統率力を意味しています。
・考える力(戦略的思考の素養)が強い人
戦略的思考の素養がある人は、子どもの時から要領が良い人です。努力の割には良い成果を出す人と言ってもよいでしょうか。
・EQの高い人
人の心を読み解くのが上手な人がいます。「空気」も「行間」も抜群に読める人です。物事を感覚的に捉えてその真相を洞察する力にも長けているものです。この強みをセンスへの磨いたマーケターは、人々の「好き」「嫌い」や「なぜ」などのマーケティングの重大な課題に対して、全ての調査や判断に十分な時間をかけられない実戦でこそ重宝される大戦力になります。どうやらこのタイプの人は、社交的で人気者、幼少期から現在に至るまでの多くの情報を自然体でたくさん吸収してきた人である場合が多いようです。「人に対する関心の強さ」を持っていること。そして楽しいものやイベントなど「世の中の流行りものに対する興味の強さ」も持っています。
・精神的にタフな人
様々な経験から学んで自分を変化させるためには、精神的なタフさが必要です。
挫折体験をしたことがない人は、注意が必要です。社会人になったら戦力化するまでの数年間は、劣等感は避けられないものだという心構えを持っておくことです。周囲からダメ出しされたり否定されてもネガティブにならず「学ぶ機会を与えてもらったんだ、ラッキー」と思う。そんな「貪欲さ」と「打たれ強さ」が必要になるのです。打たれ強さはある意味で慣れの問題ですが、貪欲さはその人の意識の問題です。妙なプライドが邪魔をするのか、よくわからない「私らしさ」の殻に閉じこもっているのか、否定されることを恐れ、変わることを拒否して、ずーっと成長しない人が少なからずいます。「できない自分」が過度のストレスになる優等生症候群と根っこは同じなのではないかと私は思っています。
強みを伸ばして成功する
会社はあなたの貢献に対して給料を払っているのです。もう一段深く考えてみましょう。会社はあなたの強みに対して給料を払っている。あなたが誰も知らないところで続けている「弱点克服」の努力に対して給料を払っているわけではないのです。
弱点には2種類あります。自身の強みとは関係がない弱点。もう1つは克服すれば自身の強みを大きく活かせる弱点。前者は自覚しつつもどうしようもないので強みでカバーします。後者は克服が非常に大切なので、積極的に取り組んでください。
なかなか変われないのはなぜか?
人間の行動はなかなか思ったとおりにすぐには変わりません。それはなぜか?
全ての中心に価値観があります。価値観によって意志・心構えが影響され、意志によって技術が影響され、技術によって行動が影響される関係にあります。
逆に言えば、強みとなる行動を発揮したい人は、まずは適切な技術を獲得せねばならず、技術を得るためにはそれに見合った意志・心構えを持っておく必要があり、その意志・心構えになるためにはそれに合った価値観が必要となります。
人が変われない最大の理由は「変われない自分にガッカリしてしまうこと」です。Mindsetは変わるときには一瞬で変わります。しかし、SkillやBehaviorはそうはいきません。染み付いたクセというものがあります。筋肉と脳神経トレーニングの問題なのです。何度も何度も繰り返し、意識した方向へ自分の行動を矯正して慣れさせていく時間がどうしても必要になります。本当に変わりたいのであれば、すぐには変われないことを最初から折り込んで覚悟を決めることです。
自分の強みを知るにはどうするか?
強みを知るのにはどうしたら良いか?自分の「好きな行動」あるいは「得意な行動」の中から探すことです。それらの行動の内側にある自分自身の能力やスキルが何であるかを考えてみるのです。行動レベルで書き出したものの中には似通った「好きなこと」のグループがあるはずです。それらに共通する特徴、それがあなたの「強み」です。その強みをどう定義するかによって、役立ち方が変わってきます。スキルのまとめ方には色々ありますが、私がよく使っている大枠のくくりは次のとおりです。
・統率力(リーダーシップ)に関するもの
・思考力に関するもの
・対人関係構築力・コミュニケーション能力に関するもの
・革新性や創造性に関するもの
・行動力や任務遂行力に関するもの
・各職能の専門スキルに関するもの
【読後メモ】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 第5章「戦略を学ぼう」
全ての最上位概念であり命題そのものである「目的」、経営資源を投下する的である「目標」、経営資源をどう配分して何に集中するのかの選択である「戦略」、そしてその戦略をどう実行していくのかを具体的に定める「戦術」の4つの戦略用語に、マーケティングフレームワークではそれぞれマーケティング用語をあてはめて考えます。
目的:Objective 達成すべき目的は何か?
目標:Who 誰に売るのか?
戦略:What 何を売るのか?
戦術:How どうやって売るのか?
その前にマーケターには必ずやっておくべきことがあります。自ブランドをめぐる「戦況分析」です。鋭い戦況分析によってもたらされるビジネスにまつわる情報は、市場の理解、消費者の理解、競合の理解、経営資源の理解など、どれも決定的なものばかりです。
1. 戦況分析
良いマーケティング戦略が作れるのか、平凡で終わるのかの分かれ道は、戦況分析のやり方に差があると私は信じています。
戦況分析とは、「市場構造」をよく理解して、それを味方につけるためにやるのです。
戦況分析を本気でやる理由は、市場構造に逆らって確実に失敗する地雷を避けるためです。そしてできればその市場構造を自分の味方につけられるような戦略がないかを考えるためです。水の流れに逆らうより、水の流れを利用できないかを考える方が得だからです。
5C分析
company 自社
consumer 消費者
マーケターの真髄ともいうべき課題です。消費者を量的に理解すること(数値データを用いて広く全体像を理解するのに役立つ)と、消費者を質的に理解すること(質的調査などを通して消費者の深層心理に迫ること)の両方が重要です。
customer 流通など中間顧客
competitor 競合他社
community ビジネスをとりまく地域社会
社会がビジネスに与える様々な外部要因があります。それを Community と言います。代表的なものは、法律などの規制、世論、税制、景気、為替レートなどです。
2.目的の設定
戦況分析を進めながら最初にすべき仕事は目的の設定です。この目的如何によっては、その後の目標も戦略も戦術も全てが変わってきてしまいます。適切な目的設定において、3つの点を重視しています。
・実現可能性(ギリギリ届く高さを狙う)
高すぎると社員のモチベーションが上がりません。低すぎると誰も努力せず重大な機会ロスになります。「無理だとは思わないけど、それは高い目的だな」と思える塩梅が大事です。
・シンプルさ
要素がたくさん含まれる複雑な目的設定は機能しません。覚えにくいだけでなく、戦略や戦術まで複雑でどうしようもないものに変貌させてしまいます。
・魅力的かどうか
頭だけでなく心からどうしても達成したくなるような目的が設定できれば、どんどん人を巻き込んでいくことができます。
人が気持ちを入れられる魅力的な目的の設定は、人的資源を激増させることができるのです。
3.WHO(誰に売るのか)
・消費者を選ぶ理由
「私は成功の鍵はわからないが、失敗の鍵は知っている。それは全ての人を喜ばせようとすることだ」
米国の有名なコメディアンのビル・コスビーのこの言葉の意味するところがWHO の真髄です。
ターゲットを選ぶ理由は3つあります。
①限られたリソースを消費者全員に投下すれば、一人当たりのリソースが薄くなるから
②消費者全体の中でも「買う確率」や「購買欲」に大きな偏りがあるから
③満たすべき消費者ニーズにも偏りがあるから
・戦略ターゲットとコアターゲット
全ての消費者の中から、まず戦略ターゲットを選び、その次にコアターゲットを選びます。コアターゲットは必ず戦略ターゲットの中に納まらなくてはいけません。
戦略ターゲット:ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きなくくりのことです。戦略ターゲットの外にいる消費者は、完全に捨てることを意味します。
戦略ターゲットはコロコロと変更すべきではなく、中長期的な視点で定義しなくてはいけません。最も注意すべきは、この戦略ターゲットのくくりが目的達成に照らして小さ過ぎないようにすることです。
コアターゲット:戦略ターゲットの中で、更にマーケティング予算を集中投資する消費者のくくりをコアターゲットと言います。
・コアターゲットの見つけ方
コアターゲットはどう考えてどうやって見つけるのか?次の6つのパターンのどれかが当てはまります。
①ペネトレーション:カテゴリーの中で自ブランドの世帯浸透率を増やせるグループはいないか?
もし自ブランドの浸透率を伸ばすための「空白地」を見つけることができたならば、それは有効なコアターゲットになる可能性があります。
USJ が新ファミリーエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」を建設したのは「小さな子ども連れファミリー」という大きなグループがUSJ にとってはペネトレーションを上げていくべき大きな余白だと判断したからです。
②ロイヤリティ:既存の使用者の中で「SOR(Share of Requirement)」を伸ばせるグループはいないか?
SOR とは、カテゴリー消費量に占める自ブランドのシェアです。これを大きく伸ばせそうな消費者グループを見つけると、それはとても良いコアターゲットになる可能性を秘めています。典型的な例は、マイレージカードやポイントカードです。あるいは大きなサイズを一度に買わせて次回買うまでの期間を長くして他のブランドに浮気する機会を圧迫します。競合ブランドをブロックし、連続でそのブランドを消費させるように仕向けるやり方です。
③コンサンプション:既存の使用者の中で1回あたりの「消費量」を増やせるグループはいないか?
1回あたりの消費量(Consumption)が増えれば自ブランドの売上を伸ばすことができます。有名な話では、味の素が容器の穴の数を増やしたところ、飛躍的に消費が伸びたということがあります。
④システム:既存の使用者の中で使用商品の種類(SKU数)を増やせるグループはいないか?
消費者が同一ブランド内で複数商品を使うことをシステム使用と言います。シャンプーしか使っていない消費者にコンディショナーやトリートメントを使わせることができないかを考えること等が当てはまります。
⑤パーチェスサイクル:既存の使用者の中で購入頻度を上げる(購入サイクルを短くする)理由を作れるグループはいないか?
例えば、散髪屋さんが全客平均で5週間に1回来店していたサイクルを4週間に1回に縮めることができたならば、一人も客を増やさなくても年間の売上は2割も向上します。
⑥ブランドスイッチ:競合ブランド使用者の中にブランド変更の可能性の高いグループはいないか?
ブランドスイッチの必然を作れそうなグループを見つけたとき、果敢に攻めるのもコアターゲットの設定のやり方です。しかしながら、これを6つ目にもってきたのには理由があります。経験上、リソースがより多くかかるのでハードルは高めです。
以上の6つのどれかがあるのではないかと自分に加圧して考えてください。きっと有力なコアターゲットを見つけられると思います。もし見つけられないのであれば、まだ消費者理解が足りないということです。解決策の切り口は、ほとんどの場合において消費者理解の中に埋まっているものです。マーケティングの真髄は消費者理解にあるということを決して忘れないでください。WHAT やHOW よりもWHO が大切なのです。
・消費者インサイト
コアターゲットが定まったのならば、コアターゲットの深層心理を探りましょう。消費者インサイトとは「消費者の隠された真実」のことで、コミュニケーションで上手く衝くと、消費者の認識が大きく変わったり感情が大きく動いたりします。
消費者の認識を大きく変えるインサイトをマインド・オープニング・インサイトと呼び、消費者の感情を大きく動かすインサイトをハート・オープニング・インサイトと呼びます。
消費者インサイトと消費者ニーズは違います。インサイトはあくまでも隠された真実であって、指摘されて平気で「そうだよ」なんて反応されるものはインサイトではないのです。強いインサイトは、理性をはっとさせるか、感情を深くエグるものです。
マインド・オープニング・インサイトの例です。理性をはっとさせます。「除菌ができるアリエール」を新発売したのですが、さっぱり売れません。当時は衣服に菌がいるという消費者の認識はほとんどなかったので、洗剤が除菌をするメリットが消費者にはピンとこなかったのです。
そこで同僚はマインド・オープニング・インサイトを見つけて衝きました。「部屋干しの衣類からニオイがするのは衣類にたくさん菌がいるから」というインサイトです。このインサイトによって、消費者は「あー!なるほど!服には菌がついていたのか!」と除菌の便益の価値を一発で理解することができ、除菌ができるアリエールはシェアを伸ばしました。
ハート・オープニング・インサイトの例です。感情をエグります。USJ の2010年のクリスマスイベントの話です。それまでのTVCM を始めとするコミュニケーションは「昼にはこんなことを楽しめて、夜にはこんなことも楽しめます」という非常に当たり前な説明の正攻法を取っていました。
このときに衝くことにしたインサイトは親の切ない深層心理をエグるものです。これを綺麗な言葉で表現すると「子どもと本気で楽しめるクリスマスはあと何回もない」というものです。
もっとわかりやすく表現すると「あなたのまだあどけなくて可愛い娘はすぐに大きくなって、クリスマスなんてあなたと一緒に過ごしたがらなくなります。すぐにクリスマスイブは帰って来なくなって、ホテルで彼氏と過ごすようになりますよ。だってお母さん、あなたも身に覚えがあるでしょう?」というもの。
これをそのまま露骨に表現するとさすがに世の中に非難されますから、我々はそのインサイトをこのようなコピーに変換して切ないパパ目線のナレーションで語りました。
「いつか君が大きくなってクリスマスの魔法が解けてしまうまでに、あと何回こんなクリスマスが過ごせるかな……」と。
USJ におけるクリスマスの内容、つまりプロダクト(製品)は前年までと全く変わっていません。変わったのは消費者インサイトを衝いたコミュニケーションだけです。それだけでクリスマスシーズンの集客効果は倍増しました。WHO をちゃんと理解して強いインサイトを見つけて活用するだけで、売上を倍増させることもできるのです。
4.WHAT(何を売るのか?)
マーケティング・フレームワークにおけるWHAT の使命は、自ブランドの消費者価値を選びことです。消費者がそのブランドを選ぶ必然、そのブランドを購入する根源的な理由、それがWHAT での戦略的な選択となります。
・消費者がブランドを買う根源的な価値
ハーバード大学院のレヴィット博士の格言
「人々は4分の1インチのドリルを欲しいのではない。人々が欲しいのは4分の1インチの穴である」
USJ でも消費者が欲しいのはアトラクションではないのです。アトラクションを体験したときに巻き起こる「感情」です。アトラクションそのものではなく、どんな感動が味わえるのかを訴求せねばなりません。
具体例でWHATの理解を深めましょう。例えば、フェラーリで手に入れたい根源的な価値は「成功者としての優越感」とでもいえるでしょうか。フェラーリの特徴である「圧倒的な速さ」や「ときめくエンジン音」や「官能的な走り」などは、モノとしての走行性能以上に車としての魅力を増進しています。それらは車好きの視点から「成功者としての優越感」を実感させるためのHOWのように思えます。
東京ディズニーリゾートのWHATは「幸福感」ではないかと思います。
・ポジショニングについて
消費者の頭の中にある競合との相対的な位置づけのことです。消費者の頭の中で、購入の強い理由となるブランド・エクイティーに最も近い場所にポジショニングしているブランドが有利になります。
例えば、家庭用掃除機において、「吸引力の強さ」が消費者にとって重要な購買決定理由なのであれば、「吸引力が強い」というブランド・エクイティーを所有している「ダイソン」のポジショニングが有利になります。(以下、補足)「家事からの解放」「時短」が重要な購買決定理由に変化すれば、「おそうじロボット」のiRobot社のルンバのポジショニングが有利になるってことか!
多くの消費者が購買決定に際してひときわ重要だと思っている価値観があります。掃除機の「吸引力」とか自動車の「信頼性」とか、商品カテゴリーによってその価値は異なっていますが、その判断軸をブランド・エクイティーとして自ブランドが単独で所有できればベストです。しかし、たいていの場合、その軸となるエクイティーは、そのカテゴリーのNo.1ブランドが既に単独で所有しているか、競合に対して有利に保持している場合が多いのです。
その場合、チャレンジャーとしてNo.1ブランドに挑戦するあなたは、相手の強固なポジショニングを崩さねばなりません。相手が所有している強力なブランド・エクイティーを奪いにいくか(既存の軸を奪う)、現在の「軸となるそのエクイティー」を陳腐化してしまうほど新たな価値観を消費者の頭の中に打ち立てていくことになります(競争の軸を変える)。
覚えておくべきことは、ポジショニングが「相対的である」という真理です。自分が動かなくても相手が動くことで自分のブランド・エクイティーが動かされてしまうことが起こります。逆に自分のポジショニングを動かすことによって、全く動かない相手を消費者の頭の中で動かしてしまうこともできるのです。
卓越したマーケターの多くは自ブランドの相対的なポジショニングを常に必死に考えています。下剋上で天下をとるために、消費者の頭の中にある有利な場所へ自ブランドをどう動かすか、あるいは競合ブランドを不利な場所にどう追いやるのか。
王者の側も当然考えています。誰が何を仕掛けてくるのか、差別化を仕掛けられたらどうやって同質化して圧迫するか、もし現在の軸が狂わされるとしたらどんなやり方があり得るのか。それがマーケター同士が日常的に繰り広げている知恵比べ、ポジショニングの戦いです。
5.HOW(どうやって売るのか?)
HOWとは戦略的思考で紹介した「戦術」にあたります。HOW(戦術)が弱ければ、どんなに強力なWHATであっても消費者に届くことはありません。それだけHOWは重大です。HOWは、WHATをWHOに届けるための仕掛けなのです。
最も一般的にHOWを整理したものとして参照されている「マーケティング・ミックス(4P)」で理解していきましょう。
Product(製品):Product領域の目的は、顧客に提供するモノ(製品)を決めることです。モノを決めるのはHOWの1つ、重要なマーケターの仕事なのです。
Price(価格):Price領域の目的は、自ブランドが目指すポジションに適した価格を決めることとその実現です。消費者の需要に応じた設定を行わねばなりませんし、コストに応じた設定もできていなくてはなりません。競合他社との関係において相対的な価格の是非や、価格プロモーションに際してはその価格弾力性による効果も考慮に入れなくてはなりません。
Place(流通):Place領域の目的は、効率的かつ効果的な顧客への販売アクセス方法を決めることです。流通在庫のリスクを回避しやすい形態として卸売業や小売業を活用するやり方や、消費者に直販するやり方もあります。市場において店頭をできるだけ広くカバーしたいという配荷率の観点と、流通マージンや様々なコストをできるだけ低く抑えたいという流通コストの観点を、どう総合的に選択していくのかです。
Promotion(販促):Promotion領域の目的は、効率的かつ効果的な顧客への情報伝達方法を決めて実現することです。明確化したターゲットに対し、効率的かつ効果的にリーチする媒体の選択と運用方法を考えていきます。広告や販促キャンペーン、パブリシティでの認知形成と購買意欲醸成にまつわるコミュニケーションを統合して戦術化していくのがこの領域の仕事です。
・HOWができてこそマーケター
HOWをちゃんとできるようになるための一番の近道は、WHOの理解でした。自分のセンスで判断するのではなく、深く理解した消費者の視点からHOWを判断すれば良いということです。
具体的に私がやったことは、徹底的に消費者を理解するために自分の相当な時間をつぎ込むことにしたのです。ヘアケア時代には髪の毛を金髪にしたり。USJに来てからは、モンスターハンターを999時間プレイしたり。とにかく何でも自分でやってみて消費者視点を理解することを最優先しています。強いブランドを自社に導入するのは、ファン心理の理解が不可欠なのです。それがないと強いWHATを思いつけないですし、強いHOWもわからないのです。
人に任せることと放置することは違うのです。HOWを部下に任せることは良いのですが、部下が何をやっているのかは常に視界に入っていなければなりません。また、HOWだけを部下に任せても部下は育ちません。部下に仕事を任せるときはちゃんとプロジェクト単位で任せて、目的からWHOとWHATとHOWをセットで考えさせることです。
WHO・WHAT・HOWが全てうまくいくとビジネスは爆発する!
設備投資費を使わずに劇的に集客を伸ばすアイデアを求められたときに、私が着眼したのはハロウィーンでした。数学を用いた徹底的な戦況分析の結果、年間で既に最大の集客月であった10月とその前後の9月・11月が、USJにとって最も伸びしろが大きい未開拓のシーズンであることがわかったからです。この時の計算手法は確率統計理論を用いた「ガンマ・ポアソン・リーセンシー・モデル」と言います(「確率思考の戦略論」を参照)。このモデルを簡単に説明すると、リーセンシー(recency)の消費者データがあれば、消費者の購入頻度(frequency)だけでなく、1月から12月までの全ての月に市場の大きさを正確に計算で導き出すことができるのです。「最近いつテーマパークに行きましたか?」という質問1つをするだけで、実に貴重な多くの情報が手に入ります。
そのようにして私は、最大の集客月である10月が実は最大の伸びしろを持っていることを誰よりも早く正確に知ることができました。それこそが戦況分析による最高レベルの情報資源の獲得なのです。数学が使えないマーケターであれば、集客数が少ない時期にこそもっと伸びしろがあると考えて、1~2月や5~6月などの閑散期を何とかしようとするところです。しかし、私は自然の地形に逆らって相撲をとるのは避けることにしています。自然の地形はできるだけ利用した方が良いのです。
「どう戦うかの前に、どこで戦うかを正しく見極めること」。それが会社を勝たせる軍師であるマーケターの最初にして最重要な仕事であると私は常々考えています。
【読後メモ】第6回:自分がいるからには
曖昧に信用し合ってる。 チームというか、人間の組織って、そういうふうに伸び縮みする。
http://www.1101.com/nintendo/pikmin3/2013-07-22.html
糸井:なんていうのかな、大勢でものをつくるときって、 もっとこう、曖昧に信用し合ってますよね。 この人に最初にいてもらって、 この人とつながってもらえたら ずいぶんやりやすくなるぞ、みたいな。 チームというか、人間の組織って、 そういうふうに伸び縮みするというか。 宮本:ぼくの場合もそうですね。 骨組みさえつくっておけば、 あとはそこにどれぐらい肉付けするかは、 そのプロジェクトの規模に合わせて やればいいっていう。 糸井:そうだよね、うんうんうん。 宮本:ところが最近は、 骨組みの中心ではないところに 余分なものをどんどんくっつける傾向がありますね。 だからぼく、現場ではいつも 「つけるな、つけるな」って言ってるんですけど。
糸井:だから、逆にいうと、 「自分は要らないかもなぁ」からはじめないと、 もといる人に失礼なことになりますよね。 そうすると、やっぱり、 自分がいる意味を考えざるを得ない。
【読後メモ】「TSUTAYA」は小売業の未来を示せるか
CCCも「公開オーディション」してるんだな。
ムロツヨシとおんなじだな。
「TSUTAYA」は小売業の未来を示せるか:日経ビジネスオンライン
CCCは事業モデルの「見本」として直営店を出店してきた。皮切りは2011年12月にオープンした商業施設「代官山 T-SITE」(東京・渋谷)だ。増田社長個人が数十億円を投資し、1万3000m2の土地の半分を取得。カフェと書籍を複合して居心地を重視した「蔦屋書店」だけでなく、レストランやペットサービス店をそろえた複合的な商業施設を作り上げた。
その後も、15年には初めての家電店「二子玉川 蔦屋家電」、16年には大阪府枚方市の近鉄百貨店の跡地に、大型商業施設「枚方 T-SITE」を開業した。17年4月には、銀座の高級テナントビル「ギンザシックス」に美術関連の書籍を充実させた「蔦屋書店」を開業。オープン後、約1カ月で8000万円を売り上げる勢いだという。11年以降の直営の開業施設数は16に上る。
ついでに数字も。
日本映像ソフト協会によれば、レンタル市場は07年の3604億円から16年には1831億円と半減。音楽ソフトも、05年に4222億円あった生産金額は、16年には2457億円となっている(日本レコード協会)。CCCのレンタル事業やソフト販売事業も苦戦を強いられていることは容易に想像できる。直近5年で、FCを主体とする「TSUTAYA」の店舗数は、減少傾向にある。12年度末に1471あった店舗数は、16年度末までに約4%減少。現在は、1417店のうち、約600程度がレンタルとソフト販売の店舗で、残りは書籍や雑誌も販売する複合店舗だ。主にレンタルで稼いできた店舗が減少しているようだ。
レンタルの縮小という逆風に対して、CCCは「大型複合店」という処方箋をFC企業に提示してきた。単なるレンタル店ではなく、書籍やカフェとの複合店として集客力を高めることだ。TSUTAYAの店舗数が減る一方で、合計の売り場面積が増えているのは、各店舗が大型化しているからだ。FC加盟社が書籍の取り扱いを増やしたことで、CCCの書籍売上高は1308億円(16年1~12月)と国内最大規模を誇る。この数字は紀伊国屋書店の2016年8月期の売上高1059億円を上回る。
Tポイントのデータを自社のマーケティングに使う加盟企業は、168社に上る。導入企業の一つ、すかいらーくの谷真社長は、16年12月期の売り上げ増加は「Tポイントのマーケティング効果」と言い切る。Tポイントの属性データを参考に、過去最大規模のメニュー改定をした。自社でポイントカードを展開するよりも「費用対効果が圧倒的に高い」。メニュー戦略、立地選択、業態転換のすべてに、Tポイントのデータを使っている。
2つの自由/「~からの自由」と「~への自由」
2つの自由か。この視点は大事にしたい。
消極的な自由(「~からの自由」)と、積極的な自由(「~への自由」)。
2つの自由
慰めになるとすれば、こう自問するのがトランプ政権時代の米国人が初めてではない、ということだろうか。第二次世界大戦中、心理学者のエーリッヒ・フロムは、著書『自由からの逃走』〈東京創元社〉のなかで、「全体的には個人の自由の拡大の方向へと向かっていたのにもかかわらず、なぜ西側世界の多くが権威主義を受け入れたのか?」と、問いかけた。
これは単なる「逸脱」であり、数人の狂人たちが「ずるがしこく巧妙に立ち回り、国家という巨大な機構における権力を得て」、有権者たちを「意志をもたずに、裏切りと恐怖を受けとるだけの存在」にしたせいだと考えたくなるかもしれない。だがそれは責任転嫁だ、とフロムは言う。人にはもともと、真の自由を恐れ、自由であるよりも誰かに支配されたいと思う傾向があったというのだ。つまりフロムは、これは人間性のバグなのではなく、人間性がもともと抱えるひとつの機能と考えたわけだ。
この問題を説明するにあたって、フロムは2種類の自由を区別している。つまり、社会的・政治的・文化的な制約から解放された消極的な自由(「~からの自由」)と、自己とアイデンティティを真に表現した状態を求める積極的な自由(「~への自由」)だ。積極的な自由なしで消極的な自由が生じると、「新たに勝ち取った自由が呪いのようにみえる。人々は、心地よく甘い束縛から解放されるが、自己を統制できる自由はないし、自分の個性を実現する自由もない」とフロムは書いている。
こうした区別は、イラク戦争や「アラブの春」で活動した学生たちにはわかりやすいかもしれない。「自由」の名において独裁者が倒されたものの、混乱と権力の空白が生じ、軍閥主義に移行したのが当時の状況だ。そしてこれは、トランプが大統領選で勝利した理由の説明にもなるだろう。人々はこれまで、多くの仲介者や企業、硬直化し人間性を抑圧する官僚制的組織から解き放たれ、消極的な自由を達成してきた。だが、もっと有意義な社会(積極的な自由)を生み出す手段や力が存在しないなかで、一部の人々は、居心地のいい権威主義と支配の世界に逆戻りしている。
これが、テック業界がいま直面している世界であり、少なくとも一部はテック業界がつくり出した世界だ。個人を解放するマシンと言葉は、倒す対象だった勢力に利用され、蝕まれている。政府が発するごまかしの言葉や忍び寄る権威主義、国家による監視が、これからの時代がどうなるかを決めそうだと懸念する人たちも多い。
もしかするとわれわれは、米国をここまで動かしてきた技術の力を取り戻して、こうした趨勢に抵抗できるかもしれない。だがわれわれは、それでは不十分だということもわかっている。テック業界は、消極的な自由を実現した。ここで問題なのは、人々がいま、何を行なうかなのだ。