【読後メモ】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 第4章「戦略を学ぼう」
第4章「戦略」を学ぼう
P108
・「万卒(ばんそつ:多くの兵卒。多数の兵士)は得やすく、一将は得がたし」
会社の中で最も重要な部署は、間違いなく人事部だと思います。人事のリーダーさえ優秀であれば、マーケティングでもファイナンスでも優秀な人間を雇うことができます。採用活動だけでなく、人的資源を有効活用するための組織構造、評価制度などの人事システム、組織風土も整備していくでしょうし、社内の人的資源を増やすための有効なトレーニングなども開発することでしょう。
つまるところ、成長する会社とは、人的資源を成長させ続けることができる会社のことです。
・「目的」と「目標」の違い
目的とは達成すべき使命のことであり、戦略思考の中では最上位の概念です。目標とはその目的を達成するために経営資源を投入する具体的な的のことです。
「目的はパリ占領、目標はフランス軍」
P121
・良い戦略と悪い戦略
Selective(選択的かどうか):やることとやらないことを明確に区別できているか。
Sufficient(充分かどうか):経営資源がその戦局での勝利に充分であるか。実はSufficientかどうかはSelectiveかどうかと双子の関係にあります。Sufficientでないならば、もっとSelectiveになって、絞り込むことで経営資源を足りるようにせねばなりません。
Sustainable(継続可能かどうか):短期ではなく中長期で維持継続できるか。Sustainableの観点で問題となる例は、競合がすぐに真似をして追随可能となる戦略や、自社の経営資源がすぐに枯渇して継続不能になることがわかっている戦略などです。
Synchronized(自社の特徴との整合性は):自社の特徴(強みと弱み、経営資源の特徴)を有利に活用できているか。
著者の経験則で言えば、すごく上手くいった戦略は、この4つのどれもがまあまあという平均的なものではなく、3つほど当てはまった上にどこかに突出した強みを持つものがホームランになることが多かった。
・素晴らしい戦略は相手と自分の差を利用する
良い戦略を立てるために大切なことは、重要な経営資源である「情報」をきっちりと獲得することです。市場、消費者、競合などをよく分析し、4Sに強みを持たせるような経営資源の集中を考えていきます。その際に、できるだけ自社の特徴と主だった競合の特徴を比べてみて、その差を利用する戦略があり得ないか、自身の思考に加重をかけて、よく考えてみることです。
美しい戦略というのは、相手と自分の特徴の差を、自身に有利になるように活用できているものです。強みの裏側には必ず弱みがあります。同じ特徴でも文脈を変えれば強みは弱みにもなります。自信に有利になるように文脈(戦いのルール)を設定すると言った方が適切でしょうか。
オーラルケアの巨人「ライオン」の天下を「サンスター」という勇敢なチャレンジャーが美しく崩したことがあります。サンスターは小ヘッド歯ブラシ(奥歯まで磨きやすい歯ブラシ)を発売してシェアを急速に奪いました。しかし巨人であったライオンはすぐに追随することができなかった。なぜならライオンは歯ブラシでNo.1だっただけでなく、歯磨き粉でもNo.1だったからです。
歯ブラシのヘッドに沿って歯磨き粉を出して使う消費者習慣があるため、小ヘッドの歯ブラシでは歯磨き粉の消費量が減ってしまう。ライオンはできればその方向へ相乗りはしたくなかったのです。サンスターが巨人のジレンマを衝いたことで、ライオンは反撃を決断するまでに時間がかかったと言われています。