読書記録:ニコニコ哲学(2/4)
「独占せよ」と言うピーターティールと、目的は違うけど主張が一緒という面白さ。
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オープンになるほど多様性は減っていく
もし、ジブリみたいな会社が100社あったら、その中で競争し合うので、みんなが“表面上”見たいと思っている作品しかつくれませんよ。たとえば、『天空の城ラプュタ2』とか。
でも、ジブリみたいな会社は1社しかなくて、ジブリがつくったものが見たいというお客さんがたくさんいるから、作品に多様性が生まれるんです。
もし、ゲーム会社が1社しかなくて、なにを出しても売れるんだったら、クリエイターは好きなものをつくりますよ。
―― 出版とかラジオとかテレビなどの従来メディアでも、初期のころは新しいクリエイターがたくさん生まれていたんですね。
そうだと思います。そしてUGCも商業コンテンツも同じで、活躍できるクリエイターの枠が決まっています。オープンなマーケットが突然現れると、初期に成立した自由な環境のイメージが強くて、オープンだからチャンスがあると思い込んでしまう。でもそれはオープンだから、ではないんです。
―― なるほど。荒れ地に最初に入植した人と一緒ということですね。
そうそう。ただの先行者メリットなんですよね(笑)
―― 起業と同じで、クリエイターになりやすい時代に、突出したクリエイターになるのは、大変なことなんですね。
オープンなマーケットになると、参加者が増えて、結果的にみんな等しくチャンスが減っていきます(笑)(中略)ネット全体となると、完全にオープンなので、新規参入は難しいですよね。
―― たしかに、よく考えるとわかりますよね。たとえば、今から有名ブロガーになるのって大変ですよね。(中略)まだ芸能界のほうがポッと出や、活躍する入り口があるかもしれませんね。
賞をとるとか、ドラマの主役に抜擢されるとか。芸能界は閉じたマーケットですから。そうでないオープンなマーケットほど、勝つのは難しいんです。