fact beats dreams

「理念なき行動は凶器、行動なき理念は無価値」だってさ

【読後メモ】USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 ①

第1章~第3章

20 マーケターは、ビジネスが「伸びる・伸びないの本質」を見極めるのに最も時間と精神力を使わなければなりません。そのビジネスを左右する本質である「衝くべき焦点」を「ビジネスのドライバー」と呼びます。  ビジネス・ドライバーではないということは、その問題解決にどれだけ注力しても、ビジネスは好転しないということです。ビジネス・ドライバーでないことにこだわっても、努力は報われません。  会社の進むべき方向を見極める頭脳としての存在、企業の軍師ともいうべき「マーケター」の最初にすべき最重要な役割は「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」を正しく見極めること

変えたのは1つだけ

「消費者視点(Consumer Driven)」という価値観と仕組みにUSJ を変えたことです。USJ が消費者視点の会社に変わったということが、V字回復の最大の原動力だと思います。

 会社がずっと続いていくためには、様々な制約の中で総合的な判断を重ねていくことになります。その難しい判断の起点になるのは、結局のところ「どれだけ消費者価値につながるのか」という一点に尽きるのです。  簡単に言えば、会社側のどんな事情もどんな善意も、消費者価値につながらないのであれば、一切意味がない。

 USJ の今の必勝パターンは、まずマーケティングが消費者が望んでいるものを分析し、何を作るべきかを洞察して決めます。次にそれをどのように作るのかという段階で、クリエイターやプロデューサーらの作り手が必死にアイデアと技術を駆使して作っていきます。エンターテイメントの傑作は彼らクリエイティブな人間たちの創造性抜きには決して生まれません。  製作段階では、消費者の視点から、必要ならば作り手側にダメ出しもせねばなりません。私たちマーケターの仕事は、彼ら天才が努力すべき焦点を明確にすることであり、彼らの才能と努力がビジネスの結果によって報われるように導くことです。

 マーケティングがなぜその役割を担うのかと言えば理由は1つしかありません。マーケターは消費者理解の専門家だからです。マーケティングが特別に偉いわけではないのです。マーケターは消費者の代理人なのです。マーケターは個人的な好みであれこれコメントをしてはいけません。あくまでもターゲットにしている消費者たちがどう感じるかを念頭に、問題点があれば指摘しなくてはいけないのです。

 USJ消費者視点を大切にして、作ったものを売る会社から、売れるものを作る会社にかわりました。究極的に変わったのはこの1つだけ。消費者価値を高めるために会社全体が機能するようになったことだと私は考えています。

もしあなたがマーケターであれば、自分が何を食べたいかは一切関係なく、消費者が何を食べたがっているのかのみを深く洞察しなくてはいけません。消費者がカレーライスを食べたがっているとわかったときに、あなたが取るべき行動は、社内をカレーライス一本でまとめることです。たとえ、社長が「すき焼きが良い」と言っても、決して「カレーすき焼き」を作らせてはいけません。消費者の求めるベストであるカレーライスで押し通す。それができなければ会社を勝たせることができないのです。落としどころは、ほとんどの場合において消費者最適ではありません。

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マーケティングの力で世界を制したアメリカ企業

P&G、コカ・コーラマクドナルドなど。 巨大な自由競争市場のアメリカにおいて、企業が生き残るための消費者最適を担保する知恵を体系立てたもの、それがマーケティング」という実践学なのです。

業績を急回復させる場合はもちろん、長い眼で新卒採用からじっくりマーケターを育てる場合でも、教えられる人間を雇わない限りは始まらないのです。マーケティング力強化のためには、実績のあるマーケター中途採用することは避けられないはずです。というか、変わらざるを得なくなると思います。かつてのUSJ のように、追い込まれた企業が生き残るために変わっていくか、変われないまま市場から消滅していくのか、選択を迫られる時代になっているのです。

56 マーケティング力が必要に迫られることで本当に発達するのは、むしろ技術による商品差別化が困難ないわゆる「ローテク」業界です。わかりやすい例として「水(ミネラルウォーター)」を売ることを想像してみてください。マーケティングの力なしに evian を他ブランドと差別化できますか?

(シャンプーなど)技術革新が少ない中でどうやって競争しているか?ウリカタノ工夫を研ぎ澄ましているのです。消費者をより深く洞察して、商品のコンセプトを変えてみたり、ちょっとだけパッケージを変えてみたり、なんか効きそうに聞こえる有効成分を少しだけ入れてみたり、TVCM を変えてみたり、話題化させる方法を考えてみたり、店頭展開や価格をいじってみたり、生き残るために毎日が必死です。

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「技術」と「マーケティング」の両方を手に入れた企業が勝つ

68 マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」です。消費者と商品の接点を制する(コントロールする)ことで売れるようにするのです。 コントロールすべき消費者との接点は主に3つあります。

①消費者の頭の中を制する ②店頭(買う場所)を制する ③商品の使用体験を制する

①消費者の頭の中を制する 市場を100としたとき消費者が自ブランドを知っている割合を「認知率(Awareness)」と言います。 全てのマーケターが最も留意して頑張っているのは、自ブランドへの消費者認知の獲得なのです。 マーケティングの最大の仕事は、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作ること、そのための活動を「ブランディング」と呼ぶ。

②店頭(買う場所)を制する 配荷率 山積み 価格

③商品の使用体験を制する 消費者の最初の購入を「トライアル」と言います。消費者の頭の中を制して、店頭を制すれば、トライアルまでは取れる可能性は高いと言えるでしょう。しかしながら消費者の2回目以降の購入がなくては中長期でブランドの売上を維持することは難しくなります。2回目以降の購入を「リピート」と言います。このリピート率に最も大きな影響を与えるのが、購入して実際に使ってみた商品の使用体験なのです。

まるで治水工事のように

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消費者が「認知」してから「購入」し、更に「再購入」に達していく、購入に至る流れのことを「パーチェス・フロー(Purchase Flow)」と言います。マーケターはこのパーチェスフローをよく理解して、各ビジネスドライバーをどういじればもっと違う結果が出せるのかを思案せねばなりません。

【購入決定のビジネスドライバー】 認知率 店頭での配荷率 店頭での山積率 購入率 再購入率 平均価格 購入頻度

【例:某イベントの来場者】 Market Size 全国のファン数 500万人 Awareness × 認知率50%(=250万人) Distribution × 関西20%(=50万人) Trial × 購入率(最低6%、できれば10%以上) = 購入人数(最低3万人、できれば5万人) これに平均客単価を掛ければ売上金額となる